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大戦時代、苦労して流川に潜り込んで手に入ったのは、今や欠陥だらけの甲型霊学迷彩のみ。流川家のどこかにあると言われる宝物庫や、分家派が有する科学技術の数々は、あまりに厳重に守られていたために手が出せなかった。
本音を語るなら、流川から何かを盗み取り自身の蓄えにするために潜り込んだものの、ほとんど実りのあるものは盗めなかったのは精神的にかなり効いた。
本家派の当主、流川澄会と結納を交わしたのは間違いだったとも言いたくなる。
澄会は力こそ強かったが、流川のほとんどの管理は、奴の兄が全て牛耳っていたのだ。
武力統一大戦時代まで本家の拠点であった、流川本家邸旧館の最深部にあるはずの、宝物庫や領地そのものを、高度な魔法トラップや殺人的性能を持つ魔生物で埋め尽くして守るなどと、誰が予想できよう。
その手のものには隙があって然るべきだが、流川は本当に隙がない。流石は二千年間、誰にも気取られず数多の勢力に戦勝してきただけはある。どれだけ模索しても近づくことすら叶わない対策など、よく編み出せたものだ。
結局、流川から宝物庫の武具や独自の科学技術を盗み取るのは諦め、あらかじめ下調べしていた大教会の神器で、己自身の強化を図る事にしたのだった。
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