Connected memory

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 あれは事故や事件じゃない。美奈の仕組んだ罠だった。 「親父同士、隠蔽工作しちゃってさ。許せなかったんだよ」 「だから、俺が退院したのを見届けて家を出たのか」 祐希は曖昧に笑って見せる。そんな事実さえ知らずに俺は今まで過ごして来た。 「だったらもう家に戻れ。全部思い出したよ、大丈夫だから」 「樹里さんを呼んで来るね」 今の暮らしも悪くないよ、祐希は笑って部屋を出て行く。  やけに頭はすっきりとしている。身体がこんなに軽く感じるのはいつ以来だろう。 「碧、起きたの?」 部屋の扉が開き、そっと樹里が顔を出す。 「こっちに来てもらえるかな」 ベット脇に来た樹里の手を引き、枕元に座らせる。  愛しい樹里。退院後、社内で君を見かける度に、何故目が向いてしまったのかわかったよ。
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