Connected memory

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「ごめんなさい、記憶に無いわ」 「数年前だし、たったそれだけの事だから」    俺だって忘れかけていた時、樹里が入社をして来た。急ぎの会議の支度で走り回る樹里を見るまでは、あの日の君だとは気付かずにいた。 『あ、あのっ。そちらの会議なら向こうの会議室ですっ』 あの時、君を思い出してから、気が付けば目は樹里の姿を探していた。  婚約を解消しなければ、好きだと伝える事さえできない。美奈に解消を何度か断られ続けたすぐ後、転落事故は樹里の記憶も失わせた。 「私を…… 知っていたの?」  「記憶を失くす前から、ずっと知っていた」 失くした半年間の記憶。その中で樹里はよく笑っていた。 「樹里にずっと惚れてたんだよ」 目が真ん丸に驚いてるよ。樹里、もう俺の想いを疑わないで。
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