1204人が本棚に入れています
本棚に追加
/147ページ
「あら、いらっしゃったの」
豊かな胸を隠しもせずに、黒髪から滴る雫をタオルで吹きながら美奈さんが歩いて来る。
合わせて執事さんが飲み物を配りに現れる。カクテルグラスに赤く輝くルビー色が綺麗に映える。
「Montanaでございます」
ブランデーをベースに甘いポートワインと辛口のドライ・ベルモットを加えた、ほのかな甘さを感じるカクテル。
「美奈、俺達は遠慮をしとくよ」
碧は倒れたばかり。アルコールを口にしたら、また倒れかねない。
呑まないでね、お願い。ハラハラしながら横に座る碧を見上げる。
「あら、私とは乾杯さえして頂けないの。昨日も突然にキャンセルされたというのに」
失礼だわ、美奈さんは碧を煽る様な口調を続ける。
カクテルグラスにスッ―と指が伸びた。
最初のコメントを投稿しよう!