Montana[優しく愛して] 

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「あら、いらっしゃったの」 豊かな胸を隠しもせずに、黒髪から滴る雫をタオルで吹きながら美奈さんが歩いて来る。    合わせて執事さんが飲み物を配りに現れる。カクテルグラスに赤く輝くルビー色が綺麗に映える。 「Montanaでございます」  ブランデーをベースに甘いポートワインと辛口のドライ・ベルモットを加えた、ほのかな甘さを感じるカクテル。 「美奈、俺達は遠慮をしとくよ」 碧は倒れたばかり。アルコールを口にしたら、また倒れかねない。  呑まないでね、お願い。ハラハラしながら横に座る碧を見上げる。 「あら、私とは乾杯さえして頂けないの。昨日も突然にキャンセルされたというのに」 失礼だわ、美奈さんは碧を煽る様な口調を続ける。  カクテルグラスにスッ―と指が伸びた。
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