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「樹里さんはいつからお付き合いされてたの?」
「いつから……」
身体の奥から熱い。呼吸が波打つみたいに速くなってる。
「全然知らなかったわ。せめて教えてくださる?」
碧と契約をしたのは―― だめ、頭がよく回らない。
「け、契約は……」
いつから―― 美奈さんの刺さる様な視線にもう気が付けない。
祐希くんはどこ。碧がいた席の隣にいる祐希くんに目を向ける。視線に気が付いてひとつ隣に祐希くんが腰掛け直す。
「あ……」
カクテル二杯ぐらいでこんなに酔うなんて。
「危ない、樹里さん」
私の膝の上で傾いたグラスを祐希くんが手から取り上げる。
ふっと私のグラスを口にして表情がしかめっ面に。
「なんだよ、これ」
意識が朦朧とする中に祐希くんの怒った声が聞こえてくる。
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