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それから数日後、会社ではちょっとした騒ぎになった。
「えーっ」
「宮司さん、人が悪いなぁ」
同僚達の驚く声を受けながら、社長交代の発表をする。合わせて結婚の報告をすると、さすがに野次が飛んだ。
「ひたすら騙されたよ」
祝いの言葉だと受けとっておこう。同僚達の笑顔にまずは胸を撫で下ろす。
「ずっと忙しそうだけど、身体は大丈夫なの」
「疲れはあるけど、大丈夫だよ」
一度倒れてから、樹里は身体を気遣う様になった。勿論、アルコールは禁じられた。
「もう明日が結婚式だなんて嘘みたい」
「部屋に雨が降るのと、どっちが嘘っぽい?」
腕の中で笑う君と一緒に眠りにつく。
「想像以上の招待客の数だわ」
「顔は覚えなくていい。とにかく笑っていてくれたら」
「……頑張るわ」
俺達の結婚式なのにな。余計な負担をかけてごめんな、樹里。
君を抱きしめて眠りに堕ちた。
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