1203人が本棚に入れています
本棚に追加
/147ページ
「お時間になりましたら、お声を掛けさせて頂きますね」
係の方が部屋を出て行くのと入れ違いに、碧が入って来る。ブーケを横に置いて碧と向き合う。
恥ずかしいのに、見てもらいたくて。照れ臭いのに嬉しくて。どうしようって碧を見たら、碧の方がもっと照れ臭い表情をしてた。
「どうかな……?」
足元のレースがふんわりと揺れる。
「――ん」
あ、あれ? リアクションが薄いっ。大人っぽいデザイン、似合わないかな。
「やば…… 言葉にならなかった」
碧がこんなにはにかんだ表情をするなんて。
「綺麗だよ」
おでこにキスがふってくる。幸せな瞬間を碧がくれる。
「お給料は出ないけど」
もうその瞳はいつもの悪戯な微笑みに戻ってる。
結婚して下さい―― 差し出された手を重ね合わせた。
最初のコメントを投稿しよう!