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「碧? やだ、碧っ」
崩れ落ちる身体を支えてしゃがみ込む。ドレスの裾が床の上にふわりと広がる。
「兄貴、どうしたの」
「碧、大丈夫か!」
飛び交う言葉が耳に入らない。意識を失っている碧の身体を抱きしめて怖くなる。
このまま目を覚まさなかったら――
「とにかく運ぶんだ」
お願い。私から碧を取り上げないで。
「樹里さん、しっかりして」
祐希くんに手を引かれて立ち上がる。運び出される碧を二人で追いかける。
控室に寝かされた碧は、すぐに意識を取り戻した。
「診て頂いたのよ。過度の疲れと緊張でしょうって」
「そっか…… ごめんな」
式は途中で中断をし、披露宴の時間は繰り下げになった事を伝える。
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