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碧に顔を寄せる。手の平で耳元を隠しこっそり耳打ちを返す。
「あのね、そのフレーズは別れの歌よ」
びっくりした碧が私の顔を見返す。
「え、格好良く決めたつもりなのに」
二人で顔を見合わせて吹き出す。私達って本当に間違いだらけ。大丈夫、碧はそのままで十分素敵。
披露宴は終盤を迎え、あっという間に時間は過ぎていく。祝辞に新郎からの挨拶と続く。
エンドロールムービーという、ゲストへの感謝を込め映画のエンドロールのような映像を流す。碧の父の要望で花束贈呈はなくされていたから、それで全ての演出が終わった。
「ゲストの御見送りでラストだ」
碧の横に並び、大勢の招待客を見送る。引出物は後日郵送の手配をしているので、ミニの紙袋でお菓子とお礼状をお配りする。
誓いのキスを取り入れて、段取りを変更した都合上、ブーケトスはカットされた。
「穂乃果さんと、美奈さんに」
ミニ薔薇のブーケを大至急でひとつ追加し、二人に差し上げる。
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