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まだ部屋の中では雨降りが続いてる。古い建物だからひび割れを伝って部屋中に拡散されて落ちてくるみたい。
困ったなあ―― 電化製品とか、故障していたらどうしよう。家財保険て入ってたかしら。
でも学生さんの様な男の子と揉めたりするのも気が引けるし……
溜息ばかり付いていたら、今度は私の部屋の呼び鈴が鳴る。早朝から誰なの、こんな時に。
「すみません、三階の宮司です」
あら、さっきの猫くん。改めて謝りに来たの？
「もういいわよって言ったのに――」
言いながら玄関扉を開く。
「弟が迷惑をおかけしました」
え。
え――っ。
もう一度だけ、え――！？
同じ会社の宮司 碧さん。優しくて素敵で、系列会社から出向されて来て以来、女子社員の人気が上がりっ放し。
――って、確か同僚の穂乃果さんが言ってた。もちろん私も遠巻きに憧れていたひとり。
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