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宮司 碧さんと、弟の猫くん。じゃなくて、えっと。
「祐希です、本当にすみませんでした」
碧さんの後ろから顔を出す祐希くん。
「あの、もういいですから」
部屋中大変な事態だけど、同じ会社の宮司さんの弟くんじゃ、ますます責められない。
「お前はもういいよ」
碧さんに言われて、祐希くんは肩をしょげさせながら階段の方へ。
碧さんはまだ立ち去らずにいる。
「宮司さん?」
会社でなんて、高嶺の花過ぎて一言だって話した事がないのに。
「お詫びがしたい。誘わせて下さい、樹里さん」
「はい? ……はっ?」
整った顔立ちの甘い声。こんなに素敵な男性が、今なにやらおかしな台詞を発した様な。
「お付き合い願えますか」
樹里さん―― 碧の細くて長い指が、目の前に差し出された。
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