優性

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「うっま、このマカロニ。」 「ださ、それもパスタっていうんだぞ。」 「いいんだよ、伝われば。」 私たちは店内に入るやいなや、外に放り出された。 テラス席に通されたのだ。 功成が予約していたようだ。 随分ロマンチストになったものだ。 いや。そういえば彼は昔からそういう面があった。 星空がなんちゃらとか恥ずかしげもなく言うタイプだ。 本当に好きな人が見つかるまで恋人は作らない、とも言っていた。 変な意地のせいで合法JKと交わる機会を逃したというのに。 「どう、美味しい?」 「めっちゃうまい、このミートソース。」 「ボロネーゼかな。ほんと、こういうところ似合わないよな。」 「はいはい、貧乏人は黙ってますよ。」 ゆっくりと食事をすすめる。 それにしても、このマカロニは本当に美味しい。 景色も綺麗だ。 海と港、ヨーロッパのような風景。 風情は抜群、さすがはロマンチストといったところか。 もしも……。 ちらりと功成の方を見やる。 海を見る彼の横顔が一瞬、他の誰かに見えた。 「どうしたの?」 「いや、食べるの早いなと思って。」 「まだ残ってるよ。」 彼が頼んだピザは残り一切れになっていた。 結構なボリュームがあったが、年頃の男子からしたら軽いものか。 「てか、今日口数少ないじゃん。考え事?悩み?なんか言うことあるんでしょ?」 こっちに目を流し、軽いため息をついた。 少し呆れたように見えた。 直後、表情を整え頰をパンパンと叩く。 「甘えんなってことだよな。」 一言つぶやいて姿勢を正し、こちらに向き直る。 「文、最初にあったのは小学校だったか。」 「おお。」 彼のエピローグのような語りに、私は変な返事をしてしまう。 「あんまり目立つタイプの子じゃなかったけど、なんつーか、雰囲気あったよな。」 「なんの雰囲気よ。」 2人して少し笑ってしまった。 「中高と上がって、お前はどんどん可愛くなっていった。」 「何急に。」 笑って照れ隠しをしたが、その直後、私は突如不安感のようなものに襲われる。 まさか、ね。 「高校で急に彼氏できたときはびっくりした。」 「華のJKだからな。」 「色々相談されたな、ほんとに色々。」 「お、男の子側の意見が聞きたかったんだよ。こんなことになると思ってなかったし。」 「こんなこと……。もうさすがにばれたか。」 「さすがにね。」 20秒ほどだろうか。 空白の時間が流れる。 「文、俺は文が
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