『バン!』

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「バン!」 「うっ、、歩きながら?武田さん、腕あげましたね。。」 昼休み中に喫煙所へ向かう宮下に、すれ違いざま撃ち込んでやった。 「武田、お前まだそれやってんの?宮下撃つやつなんて、社内でももうお前だけだぞ?」 僕の暗殺を見ていた同期の岩田が言ってきた。 「うん、可愛い後輩との大事なコミュニケーションだからね。岩田は撃たないの?後輩とちゃんと仲良くしないと」 「俺はもっと普通のコミュニケーションの取り方してるから大丈夫なんだよ、宮下もいつまでも付き合わなくていいからなー」 「いえ、僕の鍛え方が足りないんで!武田さんの弾跳ね返せるくらいに強くならなきゃダメなんで!」 「お前はどこ目指してんだ」 3人でひとしきり笑ったとこで、それぞれ休憩に入った。    急な仕事が終業時刻直前に入ってしまい会社を出るのが遅くなったので、遅い夕飯を済ませるために近くの居酒屋に入った。 オフィス街にある安い店なだけあって、平日なのに店内はスーツを着たいくつかの男性グループでほぼ埋まっていた。 大きな声で迎えてくれた店員に人差し指を立て、1人用のカウンターへ通してもらうようにアピールした。  とりあえずビールと唐揚げを注文し、他の料理を本日のオススメから探してみる。 明日が終われば土日が待っている。最近は休日も仕事に追われていたから、久々にゆっくりできる休日になりそうだ。 観たかった映画が何本かあるから、朝から夜まで映画館にこもる日にしてやろうか。 やはり休日の妄想が1番の仕事のモチベーションになる。おそらくこの店で楽しんでいるサラリーマンたちも休日の妄想を語り合っているのだろう、と店内を見渡してみると、奥の座敷に宮下と同じ世代の後輩社員たちがいることに気づいた。 その中に宮下がいたので、遠くから狙撃してやろうと考えたが、やめておいた。  一般的な狙撃とは違い、僕たちがやっているのはコミュニケーションなのだ、双方向じゃないと意味がない。 互いに意思が通じていないこの状況で発砲したところで、宮下には気付かれず、僕が店員に変な目で見られるのがオチだ。 さっきまでは何も聞こえなかったが、意識してみると彼らの会話が聞こえるようになってきた。
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