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意識が戻ると、僕は無機質な部屋でパイプ椅子に座っていて、目の前には威圧感のある男性が座っていた。なにやら大きな声で僕に話しかけているようだ。
「ねえ、いつまで黙ってるつもりなの?どう考えたってもう逃げられないでしょ?」
なんのことを言っているのだろう、相手の顔には苛立ちがハッキリと見て取れる。
「廊下の監視カメラにも、発見者が通る前には宮下さんとアンタの2人しか映ってないんだよ、アンタ以外にやれる人いないでしょ?さっさと認めてよ、あと凶器のピストルはどこやったの?どこで手に入れたの?あと弾がまだ見つかってないんだけど、アンタ撃ったあと回収したの?」
撃った?弾?状況が理解できない。宮下はどうしたのだろう、体調が悪そうだったけど。
頭が痛くて、僕は俯いた。
「おいー、まだ粘るの?アンタがやった動機も何となく聴いてるよ、普段から宮下さんに執拗に突っかかってたみたいだね、周りが注意しても止めなかったとか」
突っかかっていた?違う、僕らはコミュニケーションを取っていただけだ、先輩と後輩の、よくあるコミュニケーションだ。
「で、昨日、宮下さんは同僚の人たちに相談したんだってね、『もうすぐ武田さんに殺されるかもしれない』って、そのときアンタこっそりそれ聴いてたらしいね、同僚の人が『武田さんがすごい顔で自分たちを見ていた』って教えてくれたよ、それを聞いて逆上して殺したんでしょ?」
殺した?誰が、誰を?僕が、宮下を?宮下は死んじゃった?
僕はいつも通り、もうずっとやってるコミュニケーションを取ろうとしただけだ。
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