傘が守ってくれるから

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「あのね。私の両親、離婚しちゃうの。でも私にとってはお父さんもお母さんも大切で、どちらかを選ぶなんてできない。離婚なんてして欲しくない」 「そっか」 小寺君は真面目な顔でしばらく考えて、 「ご両親には君の気持ちちゃんと伝えたの?」 と言った。 「伝えられてない……」 「それじゃあ、伝えてみたらどうかな?」 私はそれは我儘になるんじゃないかと思って言えなかった。でも。そうだよね。私だって家族の一員なのだから、思ってること伝えてもいいよね。 「伝えてみる」 「うん」 小寺君は私に傘を持たせた。 「傘さしてたら悲しみを弾いてくれるから」 まだ言ってる。私はくすりと笑ってしまった。 「そうだね。ありがとう。この傘借りていくね」 「うん。それじゃあ」 小寺君は私に手を上げて、私の進む方と反対の方に歩いて行った。 小寺君て本当は良い人なのかも。 私は何度も人から見られたけれど、雨傘をさしたまま家に帰った。 次の日。 「ありがとう。傘のお陰で悲しみが和らいだよ。 それから、両親、もう一度考え直してみるって言ってくれた」 私は小寺君に傘を返して言った。 小寺君はふわっと笑って、 「良かったね」 と言って傘を受け取った。 その笑顔がとても優しくて、私は自分の心臓がときめくのを感じた。 了
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