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「えっと、虎太郎だけど…」
「あ、そう!そうだよね!」
私はあははと乾いた声で笑ってその場を流す。
空気を読んでくれた虎太郎くんが、「それで」と勇希くんを促した。
「侑華ちゃんのバスの時間もあるから早く話そうよ」
「あ、…分かった」
微妙な空気が一瞬にしてどこかへ消えたような、三人のはっきりと曇った表情。
少しだけ部屋の中の蒸し暑さが減った気がするのは気のせいじゃないのかもしれない。
窓から入った小さな葉っぱが床の上に落ちると同時に、
勇希くんは過去の事を話してくれた。
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