1 始まり

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いきなり、部屋の中に、怒りを含んだ声が響いた。なぜかおじいちゃんまでも、その声にぶるぶる震えている。 「…うるさいんだけど。 気散らすんなら出てってくれる?」 冷たく突き刺さる視線に、低く抑揚のない声。奏くんの声は私に向けられてはないけれど…つい、おじいちゃんのように震えてしまった。 「分かった分かったごめん。 でもさ、今日新しい子来てるしさ。 そうやって空気悪くするのやめろよ。お前空気読めないの?」 …四人とも、仲が良かったんじゃないのかな。 さっきから…薄々思ってはいたけれど、勇希くんと奏くんはずっと険悪なムードだ。 「空気? そんな漢字、読めるに決まってるじゃん。 馬鹿なの?まあずっと前から知ってる事だけど。」 うわわわ。 なんだなんだ、この二人。 仲が悪すぎて、険悪どころじゃない。 今にも掴みかかりそうな勇希くんを、心配そうに犬太郎くんが見つめる。 「…じゃあ、この子に教えてみろよ、勉強。 それで、理解させたほうが勝ち。」 「……。」 部外者なのに、なぜか巻き込まれた私。 ヘルプ…! 塾らしい、いい戦いだとは思うよ。 でもなんで私?!
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