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いきなり、部屋の中に、怒りを含んだ声が響いた。なぜかおじいちゃんまでも、その声にぶるぶる震えている。
「…うるさいんだけど。
気散らすんなら出てってくれる?」
冷たく突き刺さる視線に、低く抑揚のない声。奏くんの声は私に向けられてはないけれど…つい、おじいちゃんのように震えてしまった。
「分かった分かったごめん。
でもさ、今日新しい子来てるしさ。
そうやって空気悪くするのやめろよ。お前空気読めないの?」
…四人とも、仲が良かったんじゃないのかな。
さっきから…薄々思ってはいたけれど、勇希くんと奏くんはずっと険悪なムードだ。
「空気?
そんな漢字、読めるに決まってるじゃん。
馬鹿なの?まあずっと前から知ってる事だけど。」
うわわわ。
なんだなんだ、この二人。
仲が悪すぎて、険悪どころじゃない。
今にも掴みかかりそうな勇希くんを、心配そうに犬太郎くんが見つめる。
「…じゃあ、この子に教えてみろよ、勉強。
それで、理解させたほうが勝ち。」
「……。」
部外者なのに、なぜか巻き込まれた私。
ヘルプ…!
塾らしい、いい戦いだとは思うよ。
でもなんで私?!
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