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「よし、今日はここまで。
さぁ〜寝るぞ寝るぞ」
…おじいちゃん。
授業自体は普通だけど、終わった瞬間にマイペースになる豹変ぶりが怖い。
でもこっちのほうがおじいちゃんらしくて安心するんだけども。
「あざーーっす!
侑華、行くぞ!」
「えっ?!あ、ハイ!行きましょう!」
突然の大声と急に掴まれた手にびっくりして、声が裏返ってしまった。
それを見て、犬太郎くんがぎょっとして勇希くんを引き止める。
「ちょっ、ちょっと!
侑華ちゃんをどこに連れていくつもり?!」
「どこって、そこ!」
「そ、そこ…?ってどこ…」
またまた困り果てた犬太郎くんの肩を押しのけ、聖也くんが決め顔で言った。
「…俺が行こう」
「いや来なくていいよ」
「来なくても行くよ」
「聖也…ど、どういうこと?」
そんな三人の会話に入ろうともせず、一人真っ先に外に向かう人の姿が見えた。
…奏くん。
イヤホンをしているため外の声があまり聞こえないらしく、今日はこんなにうるさくても涼しい顔をしている。
「……」
何が、あったのか。
ついこの前まで知り合いでもなかった私が、四人の過去を知ってしまう。
でも、聞くだけじゃ駄目だ。
自分から知りに行かなくちゃ。
聞くだけじゃ分からない事だって、きっとあるはずだから。
「あの!」
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