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3 過去
あの後、再び訪れたツリーハウス。
私と勇希くん、それから聖也くんと犬太郎くん。
四人で部屋の中に入ると、誰かが言い出すわけでもなくみんながその場に座った。
「うーん…やっぱりお前らいらない。
特に聖也がいらない」
「仲間はずれは悲しい」
「こう見えても聖也は繊細だから、勇希」
犬太郎くんはいつも仲裁役なんだな。
それでみんなが成り立ってる気がする。
「いやそういう事じゃなくて…。
俺らの過去の話、侑華にしようと思って」
しん、と静まり返った小さな部屋の中。
私は全く分からないから、おろおろするしかない。
「俺が…奏の話をだして怒ったことがあるだろうか」
「うん、昨日怒った」
勇希くんが真顔で言う。
「俺が…怒るわけないじゃないか、優しいから」
「優しいかどうかは知らないけど、昨日怒った」
また静まり返った部屋の中。
すると、犬太郎くんがすっと息を吸った。
「…そっ!」
「え?」
…そ?『そ』がどうしたんだろう。
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