1 始まり

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「っ……。」 顔を上げ、目を開けた奏くんと、いきなり真正面で向き合う。…き、緊張…。 寝顔が可愛ければ、普通の顔はかっこいい。 そう、どこかで聞いたことがある。 …それは、当たりだ…! 都会でも見たことがないほど、イケメンだった。 ぱっちりとした大きな黒目、シュッと通った鼻筋に、綺麗な形で結ばれた唇。 そんな顔で、じっと見つめられたら…。 う、動けなくなってしまう…! そのまま何秒か見つめ合い、…奏くんは、ふぅ、と大きく息を吐くと。 「…おやすみ。」 「……っ?!」 え…ええ?! 「よろしく」の一言もなし?! いや、もしかすると「おやすみ」=「よろしく」って事なのかな…。 いや、そんな訳あるかーい!! 奏くんは再び目を閉じると、また寝てしまった。 「ごめんね…侑華ちゃん。 本当にいつも、この調子なんだ…。 許してくれる??」 そう、犬太郎くんが困り顔で言う。 なんでこっちも可愛いんだ!許す!許します! 私は声には出さずに、こくんと頷いた。 …にしても…初対面なのに挨拶も無しで、勝手に寝るなんて。感じ悪い…っ。
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