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今から十三、四年前。私の甥がまだ幼稚園に通っていた頃の話。
夜中、甥はトイレに行きたくなり目を覚ました。
まだ小学校に上がるか上がらないかくらいの年齢。
さすがに真っ暗の中、一人でトイレまで行くのは恐いと、隣で寝ていた母親に「ついてきて」と声をかけながら身体を揺するも、母親はもうすぐ小学生なんだから一人で行きなさいと言うだけで、起きてくれようとはしない。
そのため、暫くは布団の中でもじもじと我慢を続けていたが、やがてどうにもならなくなり、甥は勇気を振り絞って布団から抜け出すと、緊張しながらもトイレへ向かい歩きだした。
甥が住んでいる家は平屋で、それほど広い間取りでもない。
寝ている座敷から襖を開けるとすぐに台所で、そこから玄関まで伸びる細い廊下をほんの数メートル歩けば、簡単にトイレへ辿り着ける。
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