三章 屍の楽園と魂者___繋がる物語

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人と共にいれば何かもわからない災厄に殺されるかも知れない 村にいたとしても災厄に殺されるかも知れない 実際村は魔女によって誑かされた人間の手によって滅ぼされてしまっていた…全てを聞いてしまうと、この道筋は正しかったのだと、思ってしまう 俺の感情を、消えた命を抜きにして 「でも…なんで、あの時あんたらは…俺の場所に来ることができたんだ。どうして人が悪感情を向けてくるのか、村を追い出されたのかはわかった。……理解したくは、ないけど」 そう、魔女の二人の話を聞いて今までの出来事に納得がいっていたのも事実だった 隠されるように土の中で眠っていた本 確かに、掟として縛ったことが書かれてあったけれども、どうして制約を科す物ばかりだったのかはわからなかった 今ならわかる 男の魔女である王を守るためならば、種を絶やさないためならば魔女は全てを投げ打てたと 「それは簡単。もともと、弟王子の痕跡から我が君の魔力を覚えていた。だから我が君の魔法が使われた時、その魔法が害するものだったから。私達は王の剣であり盾でもある。守れることができてよかった」 「あとは知っての通りよ。魔女は死んだわ。でも魔女を唆した輩がいるの。私たちは理があって人間と行動していたわ。その辺りはそこの王太子様に聞いてね?」 そこの、と指を差されたのはリグレアの隣に座っていた男 魔女である二人に雑な紹介の仕方だと目を細めてから、俺の方を向いた 意思の強そうな目……人間達をまとめる王となり得る覇気を感じさせる姿に、手に力が入るのがわかった 「臣下も誰もいないから無礼講で行かせてもらうよ。俺が彼女達の力を借りることができたのは、魔女を唆したのがリンクドールの隣にある国の地位ある者だったからだ。 あちらの国にも魔女の村がある。その村を出てきたと思われる魔女の願いを叶えるために、聖域の門の通行許可を与えた」 聖域の門…? 俺が疑問を浮かべたのがわかったのか、封印された大地のことだと簡素な説明をもらった 封印を管理しているのは人間、なのか 「リンクドールがなくなればこの大陸一の大国はヴァーレハイドになる。邪魔なものを消すのにちょうどよく魔女が利用された。幸いにも、いや…魔女の村が消えてしまったのだからそうは言えないが、国はこの通り無事だ。だがそのせいで魔女の魂は契約通りに囚われてしまった」 「囚われた?どう言うことだ」 「言葉通りよぉ。魔女の魂は魔女に輪廻する。だけれども魂が囚われたままだからいくら魔女の王がいたとしても魂がない。子は生まれない。種は途絶えるわ。他の魔女が、私たちの村に魂を渡すわけないもの」 うふふと笑うが目が笑っていない しかし、魂を捉えるなんてことはできるんだろうか 魔女ではどうしようもないもので、それらは神の領分ではないのか? よく、わからない けれども魔女が契約したと言うのなら、契約をした相手が必ずいるわけで… 「……もしかして、封印の奥にいる」 「正解。きっとそう。でもあの封印は人間の王族の血筋でしか開かないの。どうしてなのかは古い民しか知らないのだけれどね。だから開けてもらうのよ。同胞を迎えに行くために」 テーブルの中央に置かれた焼き菓子を一つ口に運びながら、言う 簡単に言っているようだけれど本当であれば、言葉よりも難しい …あまりに大きな話でまだ実感が湧かなかった
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