番外 その後の王城で(他者視点)

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番外 その後の王城で(他者視点)

sideアデリーナーー 白い花、赤い花…緑の葉に包まれた花々を、わたくしは眺めていた 庭師の手により整えられたうつくしい箱庭 兄様達のように戦う力のないわたくしの為にと、心安らげるようにと作られたものでした その中を草の道を踏みしめながら歩くのはわたくしと、わたくし付きの次女であるミサの二人 朝の日課は、庭園をゆっくり歩き回る事 「ミサ、今日は確かクラリッサとお茶会の予定よね?」 「はい。…ですが、レモー伯のクラリッサ様が体調を崩されたそうで、また別の日にと頂きました」 こちらが手紙です…と渡された白い封筒 ミサに渡された手紙には、滑らかな筆記体で書かれた文字がクラリッサの体調についてを伝えていた 仕方がないわ、あの子は体が弱いから 「それならお見舞いの品を送らなければいけないわね。クラリッサは花が好きだったから、庭師に頼んで花束にしてもらって?」 「かしこまりました」 ーーー わたくしには二人のお兄様がいて、わたくしは三番目の、王女として生まれました 一番上のエレお兄様……エレン・リンクドールは学術に長けていて、時が来れば王となるだけの器があった 数週間前にわたくしの父であるガレ国王が突然倒れてそのまま亡くなった時、後を継いで国王になり今に至ってい訳なのだけれど…二番目のお兄様もいるから、色々と言われていたみたい 二番目のリグお兄様、リグレア・リンクドールはエレお兄様とは真逆で武術に長けていました それこそ小さな頃は負け続きでしたのだけれど、体が出来上がってきてからは水を吸うように強くなったと、近衛騎士の方が言っておりました わたくしも一度、訓練場に足を運んだ時は、目で追えないほどの動きに思わず胸がときめきましたわ わたくしは強い殿方が好きなのだと、このとき思ったのです それは置いておきましょう わたくしは本来であればもう、嫁ぎ先を決めなければいけないのだけれど…国王が代替わりして日が浅く、国内も安定していないからとお断りしている 一時期は一年ほど、リグお兄様が行方不明となったり、そのせいでエレお兄様が荒れたりして本当に大変でしたわ 城内に族が侵入するだけでも一大事ですのに、リグお兄様が一緒にいなくなるんですもの エレお兄様はぶらこんというものですからね もちろん、わたくしのことも可愛がってくださるのだけれど、もういい年なのにお菓子で釣られるわたくしではありませんのよ? 美味しいのでいただきますけれど 話がそれましたわ 結果的にエレお兄様は元凶である隣国の王族貴族を痛めつけてしまいましたし、得体の知れない女を…味方…かどうかはわかりませんが、引き込みました 一年後にますます容姿と体躯に磨きがかかったリグお兄様も帰ってきて一安心…だと思ったら、今度はその得体の知れない女の願い事を聞くですって 後からその女が魔女だと知りました そして今は、エレお兄様は王になって国を治め、リグお兄様は愛しい人と言って男の魔女を連れてきましたわ 彼は魔女の王様らしいのですけれど、大丈夫ですの? わたくしそう聞きましたら、リグお兄様は同意だと言いましたわ 本当かしら? ーーーー 「そういえばわたくしの読みたかった小説が届いたそうね」 「はい。お持ちいたしますか?」 「持ってくる必要はなくてよ?このまま書庫へ行きましょう。他にも読みたい物が見つかるかもしれないんですもの」 「かしこまりました」
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