番外 その後の王城で(他者視点)

3/4

99人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
No sideーー 「そういやあ、聞いたか?ヴァーレハイドが属国になったって」 「いつのまに…俺聞いてないんだけど」 「あ、お前そん時腹痛くて医務室行ってたよな」 「……はっ」 食堂の相席で適当に相槌を打っていた手を止めて、目の前にいる同僚を見る 午前中の訓練で腹が減っていたのに…と俺は思い出していた 土産物としてもらった干物を食べた次の日に腹を下したことを 「…っいや、そうじゃなくて。ヴァーレハイドってあれだろ、隣のここと変わらないぐらい大きな国。なんでまた」 「さあ?でも、俺たちが何もしてないってことは、なんかあったんだろ」 「うーん…わかんねえな」 下っ端騎士である自分たちには聞かされていないような場所で、何かが起こったんだろう 実際職場である騎士の間では噂話で通り過ぎ去っていたらしく、昨日の午後に上司である騎士団長から聞かされてもあまり驚かなかったとか 噂、流れていたんだろうか…何故俺の耳には入ってこない しかもちゃんとした説明の時に医務室で腹を抱えていたから、今すんごく驚いている…属国だって? 「あっちの暮らしは変わらないらしいし、俺たちにも関係のないことだけどな。それよりもさ!侍女のメアリーが言ってたんだけど、リグレア様がついにいい人を見つけたんだってよ!」 「それも知らない。お前の謎の噂通は侍女からだったのか」 「いいだろそんな事。なんか王族から降って一代の公爵になっただろ?この間。お前も居たから流石に覚えてるよな」 「ああ……」 「一緒にお相手を連れてきていたらしい。新王もすぐに了承していたらしいから、いいところの出だと俺は踏んでいる。顔はめっちゃ怖かったらしいけどな」 「新王のあれは病気じゃないか」 「言えてる!」 同僚の憎たらしいぐらい男前な顔にため息をつきつつ、記憶の中を掘り起こす 毎度の軽い挨拶のような団長の挨拶と一緒に、現王弟リグレア様が今まで鍛錬にだけきていた騎士団に正式に所属することになったと ただ副団長にと言われていたのに、本人が辞退して第三隊の隊長に収まったのは驚いたけど 騎士というのは兵士とは違い、主に街の外で戦う…盗賊や魔獣相手に 強さを求められるからと毎日鍛錬の繰り返しで、リグレア様も十三の頃から学ぶ傍ら騎士団に出入りして剣の腕を磨いていた 俺はその時まだぺーぺーの騎士なりたてだったな まだ少年を残す体つきのはずなのにに俺よりも強い姿は憧れでもあった そのあと行方不明になって、一年ぐらいで戻ってこられた時には大人と遜色ないぐらいで、あの剣技と力が合わさったら凄かった… 今度の合同演習でまたお手合わせ願えればとは思う 何度剣を打ち合っても、強くて、強くて……はぁ、もっと力をつけないと 「別にいいんじゃないか?結婚ぐらい。王族じゃなくたって身分高いだろうし、お相手は玉の輿だな」 「それがな、侍女達の中でも噂になってるらしい。なんでも、めちゃくちゃ綺麗な顔をしているとか、色が人間味を感じないだとか」 「いや、知らないし聞いてないけど俺」 「気になるだろ?けどなぁ…城内に変な女もいたとかって噂も聞くし、早いとこリグレア様みたいに新王にもお相手が見つかればいいよな」 「まだ二十を過ぎたぐらいだったよな確か。若いし超優良物件だからすぐだろ。お相手が見つかって後継ができればこの国も安泰だな」 最後に残った肉の塊をかき込んでから席を立ち、腰に差してある剣を確かめてから食堂を後にする そろそろ午後の鐘が鳴る時間だから遅れると後が怖い 隊長怒ると怖いんだよな 「午後も頑張るか」 「だな」
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加