痛みの記憶

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心臓が、まるで耳にあるみたいにうるさい。 泣きたいのに、あまりの衝撃で涙さえ出て来ない。 『小学校の時はあたしらが面倒見てあげてたけど、本当に何考えてるかわかんなくてさぁ。マユミちゃんも変に懐かれて大変だよね~』 リッコちゃんの言葉が。 『そうなの。本当に、迷惑してるんだよね』 マユミちゃんの言葉が、ナイフのように胸に突き刺さる。 「あ、これはあれよ。流れっていうか、あるでしょ? そういう空気みたいなの。 本気で言っているわけじゃないからね! だって、私たち友達じゃない? こだまちゃんだって、あなたを庇ったせいで私がいじめられるのなんて嫌でしょう? 」 薄ら笑いを浮かべながら必死に取り繕うリッコちゃんが、なにを言っているのかも、こだまには分からなかった。 こだまの頭の中を満たしているのは、自分が『いじめられっ子』になってしまったということ。 マユミちゃんが最後に握らせてくれた紙切れに、小さな文字で書いてあった『リッコちゃんがクラスの子たちをグループトークに誘ってる』と書いてある事実をどう受け止めたらいいのかということだけだった。
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