痛みの記憶

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「…………何で……どうしてなの?……リッコちゃん………」 思い出してしまった痛みで、リッコちゃんからの最初で最後のメッセージが、涙で滲む。 死にたいほど苦しかったのは、自分だったはずだ。 こだまは、今もそれを一切疑わない。 なのに、死んだのはリッコちゃんだった。 「ごめんね……ごめんね……リッコちゃん…………」 リッコちゃんの死から、ようやく二ヶ月が経とうとしている。 まだまだ、こだまの受けた痛みの記憶は鮮明で、罪の意識も消えない。 『こだま返ししか脳のないアイツなんて、いなくなればいい』 今でも、しっかりとクラスのグループトークには、リッコちゃんが書いたメッセージが残っている。 紛れもなく、鋭利な言葉。 なのに、彼女はこのメッセージから僅かな日数で『ごめんね』とメッセージを寄越し、さらにその数日後、歩道橋のど真ん中からの転落事故で亡くなった。 リッコちゃんの死は、ただの事故として処理するには余りにも突然で、不自然だった。 学校でのリッコちゃんの様子を知るために、警察の人たちが数名こだまたちのクラスにやってきたけれど、皆一様に口を閉ざした。 無論、こだまも。 話せない。話してはいけない。 クラス中に漂う空気が、そう言っていた。
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