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「今まで、ごめんね」
視線を下に向けたままのこだまの肩に触れ、エミリちゃんが言った。
「……え? 」
「あたしたち、本当はこんなことしたくなかったんだけど……リッコちゃんがやれって言うから、仕方なくやってたの」
レイナちゃんがいうと、エミリちゃんも、それから中学で新しくリッコちゃんのグループに入っていたアイカちゃんも、レンちゃんも頷いた。
「あたしたち、リッコちゃんのやり方には、正直もううんざりしてるの。あの子ったら、小学校の時からずーっとわがままで、自分勝手でさ。昨日だって、あたしとレイナはバスケ部に入りたいのに、一緒のに入れって勝手にバドミントン部に入部届けだしたり、今朝なんて、あたしが先に気になってるって言ってた大石くんに猫なで声で近づいて行って、楽しそうに話していたんだからっ! もう本当に許せないっ!! 」
エミリちゃんは、顔を真っ赤にしながら目を釣り上げている。
その横で、ほかの三人も次々にリッコちゃんの悪口を並べ始めた。
「とにかく、あの子の独裁はもうこれで終わりよ!」
「もう付き合ってらんない。あんな子、いなくなればいいのよ!」
「今まで女王様気分を味わってきた罰よ! どんな風に懲らしめてやろうかしら? 」
悪口は次第にリッコちゃんを蹴落とす作戦に変わり、四人の顔は生き生きとし始めた。
それが、こだまには何よりも恐ろしく見えた。
どうしたらリッコちゃんを社会的に抹殺できるのかを、とても楽しげに語る彼女たちの笑顔は、鬼よりも恐ろしい。
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