痛みの記憶

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画像はすぐにSNS上に拡散され、クラスのグループトークもあっという間に全てリッコちゃんの悪口に変わった。 その日の晩に、リッコちゃんから『ごめんね』と一言だけメッセージが来ていた。 けれど、自分の犯した罪の大きさに震えることしか出来なかったこだまには、スマホを手に取る勇気などなくて、そのメッセージに彼女が気付いたのは、リッコちゃんが亡くなったあとだった。 きっと、マユミちゃんも同じ気持ちだったのだろう。翌日から彼女は学校に来なくなった。 そして、更にその翌日、リッコちゃんは亡くなった。 大雨が降り頻る、彼女の誕生日。 食事に行くために迎えに来ていたお母さんとの待ち合わせ場所にしていた、商店街の中央交差点の歩道橋。そのど真ん中から、転落して。
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