痛みの記憶

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「リッコちゃん……ごめんね。……ごめんなさい…………ごめんなさい…………」 こだまは、スマホを抱きしめて泣き崩れた。 彼女の死は、きっと事故だったんだ。 「誕生日は、ホテルのディナーに行くの!」 あんなことになる前まで、リッコちゃんはみんなに自慢げに話していた。 とても楽しみにしていたはずなんだ。 そんな子が、自殺なんてするはずない。 何度も何度も、そう自分に言い聞かせてきた。 けれど、こだまには、液晶に浮かぶ『ごめんね』の文字が、彼女の苦しみの全てに思えてならなくて、それがそのまま、自分の苦しみに変わった。 「あたしが……殺した……。あの時、あたしが嫌だって言えていたら……。あたしのせいで、リッコちゃんは…………リッコちゃんは…………」 こだまは、枕に顔を埋めて泣いた。 次第に大きくなるこだまの泣き声は、裏庭にいたグランマの耳に届いた。 グランマはすぐに階段を上り、こだまの部屋をノックした。 「こだま? 大丈夫ですか? 」 呼びかけても、こだまは返事を返す余裕もないほど泣きじゃくっている。 「入りますよ? 」 グランマはゆっくりとドアを開け、ベッドの上で泣き喚いているこだまを見つけると、すぐに駆け寄って抱きしめた。 「どうしたんです? こだま」 「グランマ! あたし……あたし…………! とんでもないことをしたの! あたしのせいで! …………あたしのせいで……リッコちゃんが!! 」 「落ち着いて。 大丈夫! 大丈夫ですよ! こだま! まずはゆっくりと、息を吐いて……」 グランマは、こだまの取り乱し様に少し驚いたけれど、彼女を抱きしめる腕に少しだけ力を込めてから背中を優しくさすった。 「ゆっくり……ゆっくりですよ」 柔らかい声と、温かな手に、こだまはまるで魔法にかけられたように落ち着きを取り戻して行った。
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