ささくれと幽霊

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会長(かいちょう)おはよ〜、テストどうだった?」 馴れ馴れしく絡みつく腕が、鬱陶しく感じるようになったのは、いつからだっただろうか? 「別に、いつも通り」 「またぁ!? 会長って何でそんなに完璧なわけ? 天は二物を与えずって言うけど、あれ絶対嘘だわ〜」 隣を歩くのは単なるクラスメイトで、まして女であるというのに、どうして腕を組む必要があるのだろうか。 「そんな事言って、どーせノート貸して欲しいんだろ?」 「え! 貸してくれるの!?」 「休憩時間に声かけて」 「会長大好きっ!」 いや、そもそも。 クラスメイトの顔と名前程度しか記憶していないくらい、俺はこの高校生活に魅力なんてものは感じていないわけで。 語るだけの夢とか、ありもしない青春がどうのとか。現実を何一つ見ようとしない奴が他人をとやかく評価したりすること事態、可笑しな話で。 「あ、それ幽霊(・・)……じゃなくて、水瀬(みなせ)さんのじゃないかな?」 「は?」 例えば。 こうしてクラスの中では、標的になるような人間は片手ほどにはいるわけで。地味だとか根暗だとか、そう言ったイメージを植え付けられた人間はローテーションでその役割を押し付けられるのだけど。 評価できる程の能力を持ち合わせていない人間が、評価できる程知りもしない人間に向かって、「幽霊」なんて呼び名を考えつくこの世の中。 本当、終わってんなって思う。
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