あれだけ、側に在ったのに

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

あれだけ、側に在ったのに

あれだけ、側に在ったのに。 あれだけ、望まれて、甘かったのに。 探し物に似ている。 昔、貰った手紙を舐める様に読み返して。 それから、目の付く、そう。部屋の壁のセンスの良い位置にクリップで止めて。 何日も、何日も。 次第に、新しい物が増えていって、少しずつ、少しずつ、意識から離れて。 でも、 急に思い出して、触れようとすれば、探さなくても何処にあると、わかってて安心する。 そうして、頻度も減っていって。 だから、無くなった事に、気付けない。 だから、思い出すことも、無いのだろう。 あれだけ、側に在ったのに。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!