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 俺の選択は、正しいのだろうか。  昼休み。  柚流を呼び出し人通りの多い連絡通路で小声で計画を提案した。 「ついさっき甲斐から聞きました」  俺が手を回す前に、既に話が通っていた。 「先輩、いいんですか?」 「何が」 「俺、さっきまで実と先輩はデキてるんだと思ってたんで」  またしても、全くの不意打ちを喰らった。 「どっからそんな情報が」  そんなことを言われたのは初めてだった。 「中学に上がった時、俺、実と同じクラスだったんですけど、『野木崎先輩の幼馴染みだ』って二年の先輩がたくさん実を見に来たんですよ。皆さん『可愛い可愛い』言ってね」  そういえば、そんなこともあったな。 「俺、それで先輩が実をメッチャ可愛がってるんだって思って。しかも実、先輩と同じ高校に入るわで、相思相愛なんだとばかり思ってました」 「そりゃ、ただ仲が良いってだけの話だ」  本当に途中までは仲が良かったってだけの話だった。  けど俺が、変わったんだ。  高校に入って男への告白のダミーを二度やって、俺もそれが、羨ましくなった。  実が俺を追うようにこの学校に入ってきて、俺の中で実が“それ”の対象になった。  実に、俺の欲望を注ぎたい。  男友達のように下らない遊びでつるむのではなく、誰にも邪魔をされない場所で、実の他には見せない別の姿を、独占したいという気持ち。 「それで柚流? 参加するのかしないのか」 「しますよ。甲斐にも協力するって言いましたし。けど先輩は本当にいいんですか? 実との間に愛はないんですよね?」 「ねぇよ」 「なら実のアレは、先輩のこと、男として尊敬してるってことですね」 「そうだったら光栄だな」  柚流の言葉がひっかかる。  実は、俺のことを『男として尊敬している』。  最も確率が低いのは、俺じゃないか?  俺は、この計画を続けてもいいのだろうか。
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