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「う~ん……。顔?」
「顔かよ!! 優子さんじゃなくてもわかるわそんなの」
「お前、その発言けっこうヤバいぞ」
晃輝はそう言って大笑いした。ただの自慢みたいになってたことに気づいて、俺はちょっと罰が悪くなった。
「俺にとってはコンプレックスなんだよそこは……」
「悪ぃ悪ぃ。まー、真面目な話、あれよ。お前の良いところは、毒吐かないところ」
「毒?」
「文句とか不満とか、全然言わないじゃん。だから一緒にいて不快になることがねーの」
「言わないか? 言う気もするけど」
「言わねーって。言ったとしても言ったうちに入らないくらい。毒がねーの」
「ふーん……。よくわかんねーけど」
「お前、あかりと一日一緒に居てみ? もう、出るわ出るわ文句と不満だらけよ」
「イヤ、戸田さんが絶対ムリなのは、高校の時点でわかってるし。でもお前は好きなんでしょ」
「文句言わない時は可愛いんだけどな~」
晃輝ははぁっとため息をついた。でも顔を見ると、しょうがねぇよな、って感じで笑っているから、たぶんそこも許容済みではあるのだろう。
「大変だな、夫婦って」
「大変よ。まあでも、子供生まれるし、楽しみも多いけどな」
「そんなもんか」
「お前とゆーこさんは? 子供とかはもう厳しいんかね?」
「まぁなー。でも俺は別に子供欲しいって気持ちもないし、そもそも結婚してもらえるかもわからないし……」
「なんで? すればいいじゃん」
「優子さんには優子さんの生き方があるから、そんな簡単には行かないよ。俺は優子さんと居られるだけで十分だと思ってるし」
「そんなもんかね」
「二人で過ごせる時間がもっと多ければいいなーとは、思うけどね……」
優子さんに会えるのは隔週末と、平日の夜にごはんを食べるのが月に二・三回。このままのペースだと、一年で何回会えるんだろうと考えてしまう。
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