来店1 僕と幻の女

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僕、橋本真宙の人生は割と鬱屈していると思う。 午前6時半、自分の部屋に鳴り響く目覚まし時計を止めて身体を起こす。 自分の部屋から着替えて一階に降りれば、シンと静まり返ったキッチンとリビングが広がる………。 それを見て、ああまた浮気相手の所だなと思ったけれどそれ以上は何も思わない。 僕の両親は、お互いどちらも浮気していて滅多に家に帰ることはない。 だけど、それは僕にとってはもう当たり前でのことだから、キッチンに立って食パンを焼いて適当に口に放り込む。 両親は所謂大企業で働いていて、物心ついた時から既にどちらかがいないことは当たり前だった。 僕がある程度一人でできるようになったら、両親はほとんど家に帰ることはなくなった。 時折家に帰ってくることはあるけれど、それは必要な物を取りに来る時だけで僕に声をかけるなんてことはない。 ちなみに両親とも、お互いがお互いに声をかけることもない。 何故なら、お互いそれぞれ別に浮気相手がいて、そっちに夢中だからだ。 一応死なれたら困るのか、毎月お金は振り込んでくれるから僕もそれ以上に思う事はない。 残ったパンを口に放り込んで、皿を洗って拭いてから食器籠に置く。 時計を見れば、そろそろ学校に行かなければいけない時間で、僕は一度溜息を吐いてから誰もいない家に鍵をかけてから家を出る………。
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