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11 忠告
颯介は告白の返事はもらっていないが、ラインのIDを交換できた。まめな颯介は毎日ラインをする。市場の様子やら入荷した魚やらとりあえず自分の身の回りのことを気軽に早苗に伝えた。その甲斐もあって早苗も打ち解けて来始めた。
日曜日には図書館で待ち合わせて、公園をぶらついたり買い物したり映画を見たり色々デートを重ねた。そうやって三ヶ月が過ぎようとしていた。
『もしもし。絵里奈、久しぶり。なんだ?』
『颯ちゃん、明日さあ。葵のお迎えお願いできない?』
『え、あ。お迎えか……』
『ありゃ。まずいの?』
『うーん。ちょっと』
『なんかあやしいわね。はっきり言いなさいよ』
『実はさあ。早苗先生と今いい感じで。』
『ええ。まじ!』
『おう』
『で、誤解を招きたくないわけね』
『さすが、話が早いな』
『それならいいけどさ。遊ばないでよ?他の人と早苗先生はわけが違うよ?』
『もう三ヶ月ぐらいになるけど手も握ってないって』
『え。それはそれで記録的だね……』
『まあ一応デートしてるだけだからさ』
『ふーん。でもさ。そろそろ今までの付き合い方とは同じわけにはいかないと思うよ?結婚とか考えられんの?』
『え。結婚って。飛躍しすぎだろ。まだ何にもしてねえのに』
『じゃ何かしたら結婚だと思ったほうがいいわよ』
『はあ。またあとで考えるよ』
『まだいいけど。じゃ、しばらくお願い事はなしにするから。真面目にね』
『すまん』
『いつも助けてくれてありがと。颯ちゃんも困ったら相談して。じゃね』
『うん。ほんとごめん。またな』
颯介は電話を切ってため息をついた。(結婚かあ……。そこまで思わなかったな。でも地元じゃ三十歳ってみんな結婚してるよな)
考えているとドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞー」
「兄貴、飯」
「んー」
珍しく考え込んでいる颯介を見て(まーた女か)と直樹は軽く思っただけだった。
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