光るかまぼこの板

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光るかまぼこの板

「なんで最近になって人間はかまぼこの板を持ち歩いてんだ?みんな、板見つめて、指で磨いてあがる。世も末だな」 「お前ばっかじゃねーの?あれかまぼこの板じゃねーよ」 「じゃあ、何って言うんだよ。どうみても光るかまぼこのの板だろーが」 「かまぼこの板が光るか?」 「...。いや光らねぇな」 「スマホって言うらしいぜ」 「スマホ?言いづらい名前だな」 「何年か前までさ、みんなパタパタする機械持ってただろ?」 「あぁ、地元の女子高生がもってた。ジャジャらなんか付けてたな」 「そう、あれだよ。あれの進化系だってさ」 「へぇ」 かれらは携帯電話(俗に言うガラパゴスケータイ)は知っている。狛犬の下に落として行った女子高生が過去にいたからだ。その時携帯電話というものを知った。 「でもよ、なんかスマホが原因でいろんな事件が起きてるらしいぜ」 「スマホを落とすとかか?」 「まぁ、いろんな情報詰まってるらしいから落としたらやばいらしいけど、もっとたいへんなことになってる」 「どんなことだよ」 「いじめとかさ。あのスマホってやつは他のスマホを使ってるやつとどうやら繋がってるらしいんだ」 「どうやってだよ。」 「いや、俺にもわからん。んで、みんな悪口を書き込んでるらしいんだ」 「ほーぅ。文化の進んだいじめだな。昔は殴るか蹴るかだっただろ。俺はそっちの方が好きだな」 「まぁ、結構面倒臭いらしいぜ、人間の世界っていうのは」 「ったく。かまぼこの板に悪口書くなら、うちに絵馬でも書きに来いって話だ」 「なんか異様な光景だよなー、ほらそこのカップルも。せっかく2人でいるのにに、話もしない。スマホばっか見てる。スマホとおしゃべりしてどうすんだ」 「ほんとだな。目と目を合わせて話さないとわかんないことだっていっぱいあるじゃねぇのか」 「人間は大事なもんを忘れちまったな。こりゃほんとに世も末だ 」 便利になった社会。でもその代償に私達は大切なものをなにか忘れてしまったのかもしれない。こりゃ大変なこったい。
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