恋の魔力はいと強し

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   放課後を考えると憂鬱で仕方なかったが、購買のコロッケパンが食べたい気持ちの方が勝り、私は三階の教室から一階に降りて来ていた。 「うわー。こりゃもうないか」  昼だから当然と言えば当然だが、購買には沢山の人で賑わっていた。 「先に牛乳買っておこう」  私は購買から少し離れた自動販売機に向かった。購買に人が集まった分、自動販売機の前は空いていた。 「よし。牛乳ゲットー」  中学一年生とはいえ、私も女である。忘れもしない身体測定での悲劇を思い出す度に、私は牛乳を片手に意気込んでいる。 「目指せ、スポーツブラからお洒落ブラ! お洒落ブラ!」  人伝(ひとづて)で聞いた、嘘か本当かわからない牛乳の効果を信じて私は飲み続けている。 「でもなあ、毎日牛乳買うとお小遣いがなあ。豆乳の方が好きだし……今月はリードも高かったし……」  思春期の色々な葛藤に苛まれながら、私は購買に向かった。
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