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週末×言葉
週末土曜日・・・試合当日の朝6時。なぜか解らないが目覚ましが鳴る前に目が覚めた。
集合は現地に8時半まだ随分と時間もある。
予定より早く目が覚めた僕はリビングに向かい、野菜ジュースを飲みほしカーテンを開けた。
外は太陽の光が強く、5月にも拘わらずこの時間でもう気温は21℃。
暑くなりそうだ・・・僕はそう思いながら又部屋へと戻った。
テレビを付けいつもと変わらないニュースを見ていると、弟の凌空がノックもせずに入ってきた。
「お兄ちゃん、今日試合でしょ?俺も付いて行っていい?」凌空が突然僕に話しかけた。
「見に来るのは良いけど、母さんか父さんと来いよ。試合は10時からだからさ」
そう話すと、「わかった!」と凌空は嬉しそうにしていた!
珍しいな(笑)凌空が見に行きたいなんて・・・
今日はそうしたら父さんと来るのかな。と勝手な予想を立てて7時に改めてリビングへと向かった。
キッチンで母さんは、朝ご飯と弁当の準備をしながら
「悠馬、今日は何時から何処で試合だっけ?」
僕は時間と場所を話すと
「そう智治君が悠馬はスタメンですよってこの間話してたから、凌空が行きたいって。だからお父さんと行くと思うわ。」
「わかった」僕は短い返事の後思わず【母さんは?】と聞き返しそうになった。
何となく、母さんがサッカーが好きそうじゃないからなるべく呼ばないようにしていた。
僕は、ご飯を食べ足早に現地へと向かった。
最寄りの駅に着くと、目の前を歩く先輩達から話しけられた。
「お前今日スタメンだってな!二年ではお前だけだってよ。最近監督に好かれてるからって調子に乗るなよ?お前の変わりはいるんだからさ!」
相変わらず嫌味な先輩だ、正直こういうのが苦手で部活は入りたくなかった。智治に誘われなかったらきっと小学校でサッカーは辞めていたかも。
重い足取りの中、集合場所に着く。今日はベンチには二年では智治ともう二人。僕を合わせると4人。後は1年が2人に3年が14人。全部で20人。
軽くアップをしてから、ボール回しをした。
相手チームの監督が挨拶に来る、「うちの様な弱小なチームと練習試合ありがとうございます。勉強させていただきます。」と一言。
相手は格下で過去の戦績では一度たりとも負けていない。逆に言うと負けたら汚点として残ることになる。
そんな中スタメンが発表された。予定通り僕は左攻撃的MFを任された。後は全部3年か・・・
ふとグラウンドの外に目をやると、颯斗と凌空が居た。
【えっ??兄さんが来てるのか?】正直戸惑ったが、手を振る凌空に軽く手を挙げて合図した。
試合開始10分前監督から「各自、給水とトイレを済ませとけ!今日は暑くなるぞ」と伝達があり。
僕はトイレに向かった。
トイレに入ると例の先輩達も居て「お前少しでもミスしたら、解ってるよな?英応は今まで一度も負けてないんだからな!」
相変わらず嫌なプレッシャーだ。
少し面倒臭い顔をした時
「お前なんだよ!先輩にその顔はよ!?ちょっと女子や監督に気に入られてるからって」
今度は関係ない女子の話を持ち出してきた。
ここはとりあえず謝っておくか・・・謝ろうとした時トイレのドアが開いた。
「君達さ、少し格好悪いよ(笑)?自分の実力が足らないからベンチなんだろ?大事な3年のこの時期にベンチじゃ・・・後輩に対して妬むのも無理ないか(笑)」
振り返ると兄さんと凌空の姿
すると凌空が「関係ないって!!兄ちゃん凄いところ見せてよ!」
兄さんは英応でも有名人、だからずっと黙ってたのにまさかこんなところで、兄弟ってバレるなんて。
「あいつの兄貴、高等部の月岡君の弟かよ・・・ヤバくね?チョッカイ出してるのバレたら。」
先輩たちは、僕に謝るとサッサと出て行った。
思わずどうしたら良いかわからず、黙っていたら。
「悠馬、俺にもカッコいい所見せてくれ!俺はサッカーあまり解らないけど凌空と応援してるから!俺にとって悠馬は自慢の弟だからさ!」
そういうと、トイレから出て行った。
兄さんの言葉は僕の気持ちを軽くしたし、正直素直にうれしかった。今この瞬間はあのオッドアイの事を忘れていた。
よし!試合開始だ!
俺は負けない!
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