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意識×陰険
帰り道、僕は智治と数人の仲間と最寄り駅まで一緒に帰った。意識しないようにしても、時間が重なりそうな時は何故か視線が時計を追ってしまう。
そのせいか昔から、腕時計は付けずスマホの時計を確認するようになったが公共の場や学校だとつい時計の針を意識してしまう。
今日もその時間がやってきた、駅の改札にある時計を見ると5時17分・・
あと僅かで重なる・・・せっかく駅に居るし一度簡単な検証をしてみよう、僕は電車に乗り込み座席に座った。智治達も横に並び「疲れたー」と声を上げながらドサッと座った。
「なぁ智治、今何時?」と時計をのぞき込むと【ビンゴ!】もう時間が重なる。
次の瞬間、一斉に周囲の人の頭上に砂時計が現れた。この風景、ヤッパリ何度見ても慣れない、周りは・・・白。これじゃあ検証しようが無い、それに今見たところでその他人に23時に触れることは不可能。
せめて何色が他にあるのか確認したかったのに
「おいっ!おーい!悠馬くーん」
ハッと隣を見ると、智治が「ボーっとしてるけど大丈夫か?」と言ってきた。
思わず「疲れて・・」と嘘をついてしまった。
駄目だ知り合いがいる中で、検証は怪しまれる・・僕は別な日に検証をすることにした。
最寄り駅で仲間達と別れ、智治と家に向かった。
自宅に帰ると、凌空が真っ先に玄関に来た!「お帰り!今日はお疲れ様!俺もサッカーやろうかなってお母さんに相談してたんだ!」といきなり話し出す。
すると母さんが「ほら!お兄ちゃん達疲れてるんだから、後にしなさい!」といい
凌空は後でね!と照れ笑いをしていた。
「智治は下で待っててよ!俺着替えてくる、悪いけどリビングでゆっくりしててくれ」
僕は自分の部屋に行き着替えをしてすぐにリビングへ行こうとした時、書斎の扉が開いた
「悠馬、今日は頑張ったな!凌空と颯斗から聞いたぞ」父さんが声を掛けてきた。
僕は「今日は父さんが来ると思ってたよ、兄さんが来てビックリした。」
「ちょっと私用で本屋に行きたくてな」
「そっか、そしたらまた今度きてよ。」
「悠馬は、お母さんの事は誘わないのか?」
「あ~、正直余り興味なさそうだしさ・・・」
「そうか」
父さんは小さく返事をすると、「ご飯にしよう」と一言残し先に降りて行ってしまった。
ん?とも思ったがあまり気にせず、そのまま夕食のテーブルについた。
夕食のテーブルでも凌空は興奮気味で、珍しく兄さんも沢山喋って、母さんも普段見ない様な笑顔で食卓は賑わっていた。
夕食も終わり智治が帰宅後、兄さんが部屋に話をしに来た。
「父さんから聞いたよ、お母さんは興味がないんじゃないんだ。」兄さんは突然話し出した。
「実はお母さんは、お前が小学校の時チームで目立ちすぎて少し他の母親から嫌がらせをされたんだよ。」
「あまりに陰険なやり方だったから、これが悠馬にされたらってトラウマから悠馬のスポーツから距離を置いていたんだよ」
「本当は誰よりも応援したいはずなんだよ!」
僕は、ハッとした確かに昔、嫌味を言われた時期があった。それに今日も、先輩から・・
僕は深くため息をついた・・
「今度は声を掛けるよ!母さんに」兄さんは「そうしろ」と一言言って部屋から出た。
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