43.未来へ

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 ──それから……  ジージーと音を立てて、美顔器を顔の上に滑らせる。それが終わるとシートマスク。 「それ嫌いだ。キスも出来ない」  横で柊晴が文句を言う。 「だって、若返りたいじゃない? 」  そう言うと呆れるように柊晴が笑う。 「若返ってどうすんだよ、まあ綺麗でいてくれるのは嬉しいな」 「釣り合うように」 「は? 誰に」 「柊晴に、決まってるでしょ? 」 「俺!? 何? 佐田の事でも気にしてんの? 」 「まさか、私……彼女何か好きだわ」 「……ああ、会社辞めたよ。どっかでネイリストしてるらしい」 「彼女にピッタリね。シザーハンズ……」 「そこまで長い爪でもないし、そこまで優しくもないな……」  柊晴の、微妙な顔! 「……ねぇ、私の記憶の事、話してくれたら良かったのに」 「“君、忘れてるけど、俺、婚約者! ”ってか? 」 「うわぁ、初めましての人と結婚」 「ほとんどの人が“初めまして”から進展して結婚するんだけどな」 「だけど、急に言われても」 「結局、1年で結婚しただろ? 記憶無くなる前も1年で結婚決めたし」  ……うーん……そうか。
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