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──それから……
ジージーと音を立てて、美顔器を顔の上に滑らせる。それが終わるとシートマスク。
「それ嫌いだ。キスも出来ない」
横で柊晴が文句を言う。
「だって、若返りたいじゃない? 」
そう言うと呆れるように柊晴が笑う。
「若返ってどうすんだよ、まあ綺麗でいてくれるのは嬉しいな」
「釣り合うように」
「は? 誰に」
「柊晴に、決まってるでしょ? 」
「俺!? 何? 佐田の事でも気にしてんの? 」
「まさか、私……彼女何か好きだわ」
「……ああ、会社辞めたよ。どっかでネイリストしてるらしい」
「彼女にピッタリね。シザーハンズ……」
「そこまで長い爪でもないし、そこまで優しくもないな……」
柊晴の、微妙な顔!
「……ねぇ、私の記憶の事、話してくれたら良かったのに」
「“君、忘れてるけど、俺、婚約者! ”ってか? 」
「うわぁ、初めましての人と結婚」
「ほとんどの人が“初めまして”から進展して結婚するんだけどな」
「だけど、急に言われても」
「結局、1年で結婚しただろ? 記憶無くなる前も1年で結婚決めたし」
……うーん……そうか。
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