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結婚生活は2年で終わりを告げようとしていた。
そのうち、口も聞かなくなって1年。再建を図っても大して変わらなかった。光にとって、楽しいものではなかっただろう。この結婚は。
春香が提案してくれた伊勢旅行で、光が用意していたのは離婚届。あの紙切れ1枚で、光を楽にしてあげられるのだろうか。自分本位だった。何もかも。そんな結婚生活から、解放してあげるべきなのだろうか。
離婚を了承すると、光はホッとしたように以前の明るい光に戻った。“別れる”そう決まった時から会話が増え、食事も共にするようになった。
どこで。何を間違えたのだろうか、俺は。
俺が望んだのは、一つだけだ。今の彼女の愛はどこにあるのだろうか。
『私、愛してないわよ。あなたのこと。少なくとも、今は』
あの日、光はそう言った。俺のことは、愛していないと。少なくとも……今は。
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