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「悪いけど、先に俺の聞きたい話をしてくれないか? 」
店に入って注文した料理も酒も届き、しばらくの時間も過ぎたというのに
いかに自分が俺と食事に来たかったかどうかの話を続けている佐田にそう言った。
「仲村部長、案外短気ですね。普段は、かっこつけてるだけ? 」
「何とでも言え」
「ふふ、結構荒いんですね、言葉も。ああ、でも好きだな、そんなところも」
……ある意味尊敬する。このくらい自由に生きられたら……と思う。
「ああ、どうも」
「そろそろ決まりました? 」
「何がだよ」
「離婚」
「……」
二の句が告げなくなり、その事に彼女が勝ち誇ったように笑った。
「待ってた甲斐があったなぁ」
「俺が未婚でも既婚でも、君とどうこうなる事は無い」
「人の気持ちは変わるものですよ、仲村さん」
俺の言葉に、ショックを受ける事もなく彼女は嬉しそうに笑った。
勝算など無いというのに……この自信。もう一度、ため息をついた。
「話を。してくれないか」
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