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次の週になった。
勿論、当たり前に水曜日はやってくる。
それは私がそう決めた“最後の水曜日”だった。あの日、二人で喫茶店を出ようと決めたのに喫茶店から先に出た柊晴は、ドアの向こうに姿は無くドアのこちらへ戻る事もなかった。
今日は、あの日以来だ。
カラン……
静かにドアベルが鳴った。
少し暗い店内。静かな空間。柊晴がパッと顔を上げた。その先の京也さんが、優しく頷いた。
“今日で最後”
私が、ここに来るのは。私が、私の事を好きな柊晴に会うのは。私が欲しくて欲しくて堪らない、柊晴の気持ちがある場所に来るのは。
息を吸って、口角を上げると、精一杯笑顔を作って。一歩、踏み込んだ。
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