20.過去との約束

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「知るか。そんなもん」  そう言った声が震えてる。 「今の気持ちはどうなるんだよ、光が決めるなよ、俺の気持ちを! 好きだ、好きなんだよ。この気持ちを無かった事に……するなよ」 「……柊晴……」  振りほどこうとしても、ほどけなかった。 「光が、心変わりしたんだろ? それとも、最初から勘違いだったのかよ! 」  ……勘違い。 「そうかも……しれないわね。ねぇ、柊晴、人の気持ちは変わるものだわ」 「それ、本当だろうな」 「ええ、本当よ」 「じゃあ! 光の気持ちだって変わるはずだ。これから未来(さき)で俺を好きに……なればいい! 」 「……それは……」 「人の気持ちは変わるって言った! 俺の気持ちが変わるのか、光の気持ちが変わるのか、未来に希望があるのに、俺は……俺は諦めない! 」  そっと、柊晴の胸を押すと、倍以上の強さで引き留められる。 「諦めない、絶対に。会えなくなるくらいなら、このまま離さない」  ……柊晴の強い鼓動が、私へと伝わる。こんなにも強く、こんなにも熱いのに……  ここにも、ここにも未来が……未来がなかった。  ここでは、今と呼べる、過去があるだけ。私は、帰らなければいけない。  ……未来へ。
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