20.過去との約束

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 どのくらいの時間、抱き締められていたのだろうか。 「1年後の、今日、ここでもう一度……会ってくれないか」  ようやく腕を緩めた柊晴が、そう言った。 「やっぱ、半年後」  私の返事を待たずに、またそう言った。 「……え、柊晴……」 「ああ! 無理だ。無理無理。やっぱ、3ヶ月後!! 」  ……未来とは云いがたいほど瞬時に期間が縮められていく。 「ふ、何、それ。ちょっと……全然……」  緩められた柊晴の腕に再び力がこめられる。 「1秒だって、離れたくないんだ。今までの一週間、どれだけ我慢したと思ってんだよ。無理。限界。お願いします。3ヶ月後。ここで……」 「柊晴、それ、意味ある? 」 「光にとったら3ヶ月でも俺に取ったら3年分だよ」 「何それ、誰にとっても3ヶ月は3ヶ月でしょ」 「“うん”って言ってくれるまで、離さない」  耳元でそう囁く柊晴に……頷くしか、なかった。 「分かった」  私がそう言うと、柊晴は腕を離して  小指を出した。 「約束、だからな」 「うん」  そう言って、柊晴の小指に自分の小指を絡めた。 「子供みたいだな」  そう言って柊晴が笑った。その日、初めての笑顔だった。  この約束を破るのは、きっと、私じゃなくて、柊晴なのではないかと思う。たった3ヶ月先の約束なのに。 「確かめたい。変わらない事を」  それは、柊晴の気持ちか、私の気持ちか……柊晴はそう言った。
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