20.過去との約束

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「……俺の……せい? じゃ、ないよね」 「え、違うわよ」  あ、そうか。以前の……“告白”……。あれから、伊東くんとは特に何もなく、仕事上の会話がほとんどだった。 「だよね、ちょっと自惚れた。……俺にそんな影響力ない……か」  そう言って、少し拗ねたように口を尖らせた。 「十分、影響してるわよ、助かってる」 「……はいはい、どーも。柊晴さんは、ご存じなんですか? 」  柊晴? 「ええ、勿論」 「……じゃあ、なぜ? 」 「離婚、するの」 「そう。じゃあ……余計に仕事は辞めないほうが……あ、財産分与とか? あの人、貰ってそうだもんなー」 「もうっ! そんなのは……」  私が笑うと 「なら、余計に仕事は続けたほうが……いいんじゃないですか? 」 「そうね。でも、離れようと思って。ここから」 「柊晴さんから、でしょ? 」 「もう、伊東くん……容赦ないわね」 「行き先は、教えないつもりなんだ」 「ええ」 「俺にも? 」  そう聞く伊東くんに微笑んだ。 「そうした方がいいでしょ? あなたが喋らないとも、限らないし」  伊東くんが、伏せていた綺麗な目をこちらに向ける。それに耐えきれず、今度は私が目を伏せた。
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