20.過去との約束

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「愛してるって言ってるんですよね? 柊晴さん。(あきら)さんを」  ドキンと大きく鼓動が胸に響き、そこから心臓は早鐘を打った。伊東くんにこんな呼び方をされたのは初めてだった。  それが……誰かと重なる。  愛してる……  そう言ったのは…誰? 「光さんも、柊晴さんを愛してる。ですよね? 」  ……  以前、伊東くんにそう話した。私は……愛してる、柊晴を。だけど、それは……いつの、柊晴なのか。 「人の……気持ちは、変わるものよ」  私がそう言うと、伊東くんの手が、私の手に包むように置かれた。 「じゃあ! 光さんの気持ちだって変わるはずだ。これから未来(さき)で俺を好きに……なればいい! 」 「……それは……」 「人の気持ちは変わるって言うなら……それなら、俺の事を好きになる未来だって、あるかもしれないじゃないか。そこに希望があるなら……諦められない……」  伊東くんの手が震えてる。いつも強気で、生意気で……こんな彼はきっと、初めてで。 「諦めない、絶対に。会えなくなるくらいなら、このまま離したくない」  そう言って、手に力がこめられた。
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