21.未来へ

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『食感がスポンジみたいで嫌い』  そう言ってたのに 「高野豆腐の煮物が食べたい」  柊晴がそう言った。 「……どうして? 」 「食べたい」 「嫌いだって言ってたじゃない」 「光が好きだから」  私のことが好きなのかと、ドキリとした。私が、好きな食べ物だから、ね。 『スポンジみたいになってるからこそ、噛んだら出汁がじゅわーって出て、得した気分』  いつか、苦手だって言う柊晴にそう言った。 「嫌いなはずなのにな、もう食べられないのかと思ったら、食べたくなった。切り干し大根は、結婚してから好きになった。頻度が高いからなー」 「だって、切り干し大根って一年中あるでしょ? 日持ちもするし、これも食感が好きで……」 「変わるのかな、こうやって……」 「大人になったのかもよ」 「変わる……それは、悪いことばかりじゃ、ないよな」 「ええ、そうかもしれないわね」 「このまま……ずっと一緒にいたら、変わるかもしれないな」  柊晴はそう言った。ずっと一緒にいて、変わらなかったのに。柊晴の気持ちは、私に向かなかったのに。  再建の為に土曜日を作り、私を愛そうとした。  だけど……変わらなかった。あと3年費やせば変わる?そんな無駄な時間を過ごす事は出来ない。  私たちは……もう十分だ。
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