22.過去へ

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 止まったタクシーの運転手が、私の荷物を見て 「トランク開けますか? 」  そう聞いたが。、後部座席に詰め込んで 「早く出してっ! 」  そう叫ぶように言った。 「どちらまで」 「一先ず、駅まで、早くお願いします! 」 「何だ? 」 そ う言った運転手の前に柊晴がいた。  近くから、電話をしてたのか……運転手に窓を開けるように合図する。 「光! 約束が違うだろ。ああ、いいわ、降りろ! 」  柊晴の剣幕に、運転手がたじろぐ。 「柊晴、外だから。お願い」  そう言ってなだめると 「降りろ」  今度は穏やかに、だけど……強い口調でそう言った。 「ごめんなさい。無理なの」  説明する気も無かった。この場から立ち去りたい。ただ、その一点だった。 「帰ってくる、きっと。だから、お願い。今は……」 「信じられる訳ないだろ」 「お願い」 「無理だ」 「お願い、必ず戻る……だから」  胃が……痛い。  握りしめた手を胃に当てた。苦痛に顔が歪む。柊晴がそれに気付き、表情を変えた。 「どれくらいの期間が、必要なんだ? 」  私と同じくらい顔を歪めて柊晴がそう聞いた。
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