22.過去へ

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 なのに…… 「柊晴兄ちゃんくらいエネルギッシュなら子ども10人くらいでも養えそうだけど」 「あー……子ども好きなのかな、分からないや」  私がそう言うと 「いや、絶対好きだろ」  総ちゃんがそう言うと 「光ちゃんの事が好き過ぎて、子どもはいらないって言いそうよね。男の人は子どもみたいなものだから」と祖母もそう言った。 「はは! 凄かったもんな」 「何がよ」 「え? ……ああ、そっか。えっと……愛が」  そう言うと 「うぇ、恥ずかしー」  自分で言って、自分で照れて、何だかよく分からない。  大皿の料理を平らげ 「あ、母親(向こう)に晩ごはんいらないって言うの忘れてた。ま、いっか。もっかい食えば」  そう言って帰って行った。  若さって……若さって……素晴らしい。  胃を擦りながら私はそう思った。
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